ヅカ男子(にわか)【#1】

“サブ”の付かないどカルチャー

今から35年ほど前(恐らく1990年前後だったと思う)に、劇団四季の次に大きなミュージカル劇団”音楽座”に演奏者として少しだけ関わらせて頂いたことがあり、その時に感じたのが”ミュージカルの音楽が生演奏によるものだと知らない人が意外に多い”ということでした。

「ミュージカルってアレでしょ、急に歌いだしたりするヤツでしょ?笑」 日本は西洋音楽に関して圧倒的に後進国な上に、エンターテイメントが独自の発展(アニメやボカロ)を遂げていることもありサブカル国家の様相を呈しているので、特に今の時代はサブの付かないカルチャーをよく理解していない人も多いと思います。上記くらいの認識でも仕方ないのかな、と。

歌劇は基本的に生演奏

ミュージカルに似たものとして、オペラやオペレッタがありますが、その歴史は500年も前に遡ります。「オペラって中世の貴族が観てたヤツですよね?」正解ではないけどだいたいそのイメージで合ってます。レコーダーもアンプもスピーカーも無い時代なので自然と生演奏が連想されると思います。

でもミュージカルとなると現代のものですから「録音された音楽を流してるのでは?」と思う人がいても仕方がありません。今の時代、大スクリーンで上映される映画に始まり、日頃目にするものは全て録音・録画されたものや電波に乗ってくるものばかりですから、「え!?生演奏なんですか?」という人が多いのも当然。劇団四季のTVCMでもオーケストラは映されませんしね(チラッとでも映しゃいいのにね)。ちなみに映画も無声映画の時代(映像と音声をシンクロさせる技術がなかった)は楽団がBGMを生演奏していたんですよ。

オーケストラ・ピット(オーケストラ・ボックス)

日本でも明治時代の末期から少しずつ歌劇(オペラ、オペレッタ、ミュージカル等)が上演されるようになり、1924年(大正時代)に収容人数3500人(デカ!)を誇る旧・宝塚大劇場が日本初の”オーケストラピット(※)を備えた劇場”としてオープンしたのが大きな一歩となったようです。

※オーケストラピット(通称オケピ)とは舞台と客席の間、オーケストラが収まるように一段低くなったスペース。2階席以上からは一部の奏者が見えるが、1階席からは指揮者の頭が見えるかどうか程度)

イメージ

東京宝塚劇場

宝塚歌劇団の東京での本拠地となる東京宝塚劇場(2778席)が現在の場所にオープンしたのが1934年。戦前ですね。その後1945年の終戦と共にGHQに接収されたものの約10年後に接収解除。それから六十数年後、建て替えてリニューアルオープン(2001年)したのが、現在ある東京宝塚劇場だそうです(一昨日行ってきました)。

日比谷スカラ座

ちなみに1955年の接収解除のタイミングで、4階にあった映画館”宝塚四階劇場”を発展させる形で映画館”日比谷スカラ座”がオープン。僕の親世代で東京在住なら『太陽がいっぱい』、『ティファニーで朝食を』、『ローマの休日』、『風と共に去りぬ』などを日比谷スカラ座で観たという方も多いはず。

僕が子供の頃には、日比谷スカラ座(1197席)と、道を挟んだ向かい(現在、日比谷シャンテがあるところ)に有楽座(1572席)と、日比谷映画劇場(1375席)が並んでいて、座席数1000席を超えるマンモス映画館が3件集まったこのエリアへ僕も度々足を運びました。2001年に東京宝塚劇場がリニューアルした際に日比谷スカラ座は地下へ移動してTOHOシネマズスカラ座となったようです。

ちなみにですが、映画の告知で「東宝系にて全国一斉ロードショー!!」といったあの映画配給会社の東宝=東宝株式会社は、”東京宝塚”の略なんですよ。かつての”株式会社東京宝塚劇場”(東京の劇場運営の為に戦前に設立された会社)からの社名変更。関西にお住いの方には常識とは思われますが。阪急電鉄=宝塚=東宝=TOHO

宝塚歌劇団の『鴛鴦歌合戦』を観劇

↑してきたんですが、長くなってしまったのでまた別にしたためますね。取り合えず、「ミュージカルは生演奏だ」と、知らなかった人は覚えておきましょう。

【追記】
現在上演している『鴛鴦歌合戦』の千秋楽のステージを全国各地・香港・台湾の映画館でLIVE中継するそうです。詳しくはこのページ(公式)を下へスクロール。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次