【連載】My Plugin FX #04 最初の最後

あまりによく使うため、フォルダーに入れずエフェクト一覧のトップに持ってきているもの4つのうち、今回が最後になります。

【MultibandEnvelopeShaper】トランジェント・シェイパー / Steinberg

ダイナミクス系のエフェクトは、コンプもエキパンもゲートも、スレッショルド=しきい値 を設定して、それより高いか低いかで圧縮したり解放したりの動作が決まります。

しかしながらトランジェント・シェイパーはちょっと違ってまして、しきい値に頼らないタイプのダイナミクス系エフェクトです。

僕がその昔、最初に出会ったトランジェント・シェイパーはコレ、SPL の Transient Designer。

アタックとサスティンの2つしかないこのシンプルさ。これをドラムの各パーツやドラム・バスに挿したり、カッティングギターに挿したり、アコギのストロークやピアノに挿したりと、とにかくアタックとサスティン部分の音量バランスを調整するのにめちゃくちゃ役立ちました。あまりにも便利過ぎてほとんどチート。「こんなもの使ってたらコンプの使い方がヘタになりそう・・・」といった恐怖からその後は使わなくなりまして。。

そしたらいつしか、Cubeseのオマケエフェクトとして付いてくるように。EnvelopeShaper という名称のトランジェント・シェイパーが。しかも、4バンドにマルチバンド化した MultibandEnvelopeShaper なるものまで。これがもう半端なく便利。

スレッショルドに頼らないということは、レベルが高かろうが低かろうが、全てのトランジェントに対して効果を発揮する、ということ。例えばキックのアタックを強める。コンプならアタックタイムを少し持たせてレシオとスレッショルドでアタック直後のトランジェントを圧縮しますが、中に音量の小さな弱めのヒットが混ざっていて、もしそれがスレッショルドを超えてこなければコンプが効かないし、超えても少しなら大きな効果は期待できない。ところがトランジェント・シェイパーはスレッショルド管理ではないので、音量の小さなヒットに対しても同様にアタックが強められる。このあたりがコンプとの大きな相違点です。

アコギのアタックを弱めるとか、スネアのサスティンレベルを上げるとか、そういうことを全てのトランジェントに対して行える。しかも4つの帯域に分けて。アタックとサスティンの調整をダイレクトに、直感的に、フレキシブルに、そして”かなり” 極端な音作りまで簡単にできてしまいます。

巷で販売されているトランジェント・シェイパーでも、4バンドしかもこれだけ使い勝手の良いものをまだ見たことがない(iZotope Neutron 付属のものは3バンドしかも使い勝手もこちらに軍配が上がる)。これはSteinbergのスマッシュヒットだと思います。

 
 
 

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