嗚呼、素晴らしきジャズの世界

レッスンで触れた楽曲


この動画の音楽はデキシーランド・ジャズという、ジャズのスタイルのひとつです。ジャズはニュー・オーリンズが発祥とされていますが、ニュー・オーリンズでは”Jass Music”と呼ばれていたらしいですね。その後シカゴやニューヨークに広まった頃には、”Jazz”という呼び名が一般的になったようです。

「Jass」が「Jazz」に変わった理由には諸説ありますが、一つには、当時の看板に「Jass」と書かれた文字がいたずらで「ass」に変更されることが多かったためw、それを避けるために「Jazz」に変更されたという説があります。また、「Jazz」の方が音楽のエネルギーやリズム感をより適切に表現できると考えられ、マーケティング的にも好まれたとする説もあるようです。

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目次

ニューオーリンズジャズ

ニュー・オーリンズはフランスの植民地として設立された都市で、その名前はフランスにある都市「オルレアン(Orléans)」に由来しています。「オルレアン」に「ニュー」を付けて英語読みしたのが「ニュー・オーリンズ(New Orleans)」です。ちなみに、「ニューヨーク(New York)」という名前もイギリスの「ヨーク(York)」から付けられています。新しい土地に本国の地名を付けることは、当時の植民地時代によく見られた習慣でした。(「新横浜みたいなもんですね!」と言っていた生徒がいたけれど、それはちょっと違うような気がw)

ニューオーリンズジャズは、1890年代から1910年代にかけて、アメリカのニューオーリンズで生まれた音楽スタイルです。このジャズは、ブルースやラグタイム、マーチングバンドの音楽、そしてアフリカ系アメリカ人の豊かな音楽伝統が融合し、新しいサウンドとして誕生しました。特に、ゴスペルやブルース、労働歌といった黒人コミュニティの音楽が、このジャズの基盤となっています。

さらに、ニューオーリンズはもともとフランスの植民地としてスタートした街で、そのためフランス文化の影響も色濃く残っています。フランスから伝わったクラシック音楽やダンスのリズムが、この街の多文化的な背景と相まって、ジャズが発展するための土壌を作り上げました。つまり、ニューオーリンズジャズは、アフリカ系アメリカ人の音楽とフランス文化が織り成すユニークなハーモニーから生まれた、特別な音楽ジャンルなのです。

デキシーランドジャズ

デキシーランドジャズは、1920年代にシカゴやニューヨークで発展したジャズスタイルです。このジャズは、ニューオーリンズジャズを基盤にしつつ、白人ミュージシャンによってさらに洗練された形で広まりました。ラグタイムやマーチングバンド、ブルースの要素が取り入れられ、軽快でリズミカルなサウンドが特徴です。

特に、オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(Original Dixieland Jass Band)は、1917年に初の商業録音を行い、デキシーランドジャズの普及に大きく貢献しました。彼らの演奏は、ニューオーリンズジャズの伝統を受け継ぎつつ、よりシンプルで親しみやすいアレンジが施され、幅広い聴衆に受け入れられました。

このスタイルは、ジャズがアメリカ全土に広がる重要な役割を果たし、その後のスウィングジャズへの架け橋となりました。デキシーランドジャズは、今でもトラディショナルなジャズスタイルとして愛され続けており、多くのジャズファンに親しまれています。

夜ごとジャズの生演奏が行われているライブハウス、クラブ、バーの店舗数

  • ニューヨーク市内:約120〜150件
  • 東京23区内:約100〜150件
  • パリ市内:約70〜100件

音楽関連団体の調査によると、上記が世界でもっともジャズが盛んな3都市ということです。ニューヨークは当然として、日本人とフランス人、ジャズが好きなんですよねー。ボストンのバークリー音楽大学(ジャズ教育で世界的に有名な音楽大学)においても、地元アメリカ人に次いで日本人とフランス人の学生が多いようです。

僕も中学生の頃からジャズは大好きなジャンルのひとつでした。二十歳そこそこの頃、バークリーを卒業してすぐのクリス・シルバーシュタイン(ベーシスト)とピアノ・トリオを組んで、毎週水曜日に池袋のスタジオで練習に励んだ時期がありました。お互い英語も日本語もかたことだったので、話している時はとてももどかしい。でもひとたび曲が始まればスムーズな意思疎通が”音だけ”でできました。言葉以上に音でスムーズなコミュニケーションが取れる自分自身にとても驚かされ、それは僕にとって本当に楽しく素晴らしい経験でした。

まとめ

ジャズはその歴史と共に進化し、今も世界中の人々に愛され続けています。音楽の自由さや即興演奏の楽しさ、そして異文化が交わり生まれるハーモニーは、ジャズの魅力そのものです。今夜もどこかの街でジャズの素晴らしい演奏が行われていることでしょう。

お気に入りの曲でプレイリストを作ってもいいですし、ライブハウスで生演奏を体感するのもおすすめです。ジャズに関する映画やドキュメンタリーを観たり、楽器で簡単なメロディーを演奏してみるのも楽しいでしょう。皆さんもぜひ、自分に合ったスタイルでジャズを楽しんでください!

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