最上部付近の並び順が少し変わりました。
①FabFilterのディエッサーがあまりに優秀で、iZotopeRXのDe-essが1ミリも必要なくなったので外しました。
②MeldaProductionのMSpectralDynamicsがアホみたいに優秀で、FabFilterのPro-MB(マルチバンド・コンプ)を全く使わなくなったので外しました。
よって今回は、MSpectralDynamicsについて解説します。
マルチバンド・コンプレッサー
僕の中でマルチバンド・コンプは ”問題を外科手術的に大胆で緻密な手法で解決する” といったツールです。ダイナミクスに関する大抵のことはシングルバンドのコンプ、エキスパンダーやゲート、トランジェントシェイパー、ダイナミックEQ、EQとコンプとサイドチェインの併用・・・、などで何とかなります。でもこれらで解決できない問題に突き当たった時、マルチバンドコンプが必要になります(トラック間の帯域の競合とか、マスタリングとか)
いつでも必要か疑問
よく初心者が広告やセールに踊らされて購入したWAVESのL3-16などのマルチバンド・コンプをマスタリングに使っているのを見かけますが、”どれだけ犠牲を払っても音を大きくする必要がある” というジャンルでない限り、セクション間のサウンドのコントラストが失われて音楽性を損なうので、僕はマスタリングに盲目的にマルチバンド・コンプを用いるのには疑問を感じます。もちろん第一線で活躍するマスタリング・エンジニアが全てを鑑みて用いることに疑問は感じませんが(でもそういった次元でお仕事をされている方でもだいたいシングルバンドのコンプを使ってマスタリングしてますけどね)
失敗しているミックスに威力を発揮
さて、もしアホみたいに音を大きくしたいわけでも無いのに2MIXがマルチバンド・コンプを必要としているように聴こえたとしたら、それはミックスが失敗している証拠です。自分が作った2MIXならミックス作業に戻って失敗を修正すればいいけれど、他人様から預かった2MIXをマスタリングする場合にはそうもいかないので、そういった時にマルチバンド・コンプの出番になります。
【MSpectralDynamics】スペクトル・マスタリング・ダイナミクス・プロセッサー / MeldaProduction
統合型のダイナミクス・プロセッサー
このプラグインには、
・フラッティング
・コンプレッサー
・ディエッサー
・デノイザー
・ダッキング
・ダッキング(ベース・ドラム)
・ゲート
・スペクトラルクラッシャー
といった機能がありますが、僕は単純に2MIXにファンキーなピークがあったり、キックとベースの帯域的な競合を整理する時にマルチバンド・コンプとして使っています。
1000バンド以上
普通、マルチバンドというと6バンドだったり10バンドだったり、WAVESのL3-16のように16バンド(表面には6バンドしか現れませんが背後では全16バンドが機能している)だったりするわけですが、このプロセッサーのバンド数は1000バンド以上です。1000バンド笑
つまり単に全体のスレッショルドを下げるだけで、2MIXの中でスウィープするシンセサイザーの強力なレゾナンスを追従して圧縮してくれたり、キックをトリガーにしてぶ厚いシンセパッドを圧縮するような時に、キックの基音や各倍音の周波数を ”ピンポイントで” 圧縮してくれます。
で、それら多バンドの帯域毎のスレッショルド、アタック・タイム、リリース・タイム等は、カーブを描くことで調整します。ちょっと変わったアプローチなので、使い方を覚えるのにはかなり苦労しました(日本語の情報もほとんど皆無ですしチュートVもみんな外国語)。
使いこなす勇気のある方はどうぞ。
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