プロとして音楽の仕事に携わっている人やセミプロ、またはプロを目指している人(学生やフリーター)の多くは、会社等に勤めている人に比べて、不規則なスケジュールの中で生活していることでしょう。そんな方達にとっての大命題は、効果的な時間管理です。今回は時間管理に焦点を当てていきたいと思います。
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日々のルーチンの設定1: 効果的な練習スケジュールの立て方
まず、毎日寝る前に翌日一日のスケジュールを見て、翌日の過ごし方を考えましょう。大抵の用事は前日の夜までには決まっているものなので、前日の寝る前が最適です。1週間分を決める人もいますが、それは毎日決まったルーティーンで生活していて、”仕事の急用やプライベートの用事がほとんど飛び込んでこない方限定の方法”と言えるでしょう。
翌日のスケジュールを決める際、毎日必ず行う必要があるものはデフォルトで朝イチにもってきましょう。その理由は『音楽学習を続けるための実践的モチベーションアップ術』の「朝を活用したルーチン化のすすめ」に詳しく書いています。
日々のルーチンの設定2: 隙間時間と集中時間を活用する
15分や30分など、短い時間でも効果が得られるもの(楽器の練習、音源のマニュアルを読む、参考音源を聴くなど)は隙間の時間に配置し、120分やそれ以上といったある程度まとまった時間が必要なもの、つまり没頭が必要な作詞、作曲、アレンジなどは、大きく空いた時間に配置します。自分の中で、30分以下ならこれ、60分あったらこれ、120分以上あったらこれ、とタスクを分類しておくといいと思います。
優先順位の明確化: 効率的な時間の使い方
やるべきことが複数ある場合、先ほどの分類の中で更に優先順位を明確にしておくと、スケジュールがよりスムーズに組めます。これを明確にしておかないと、スケジュールが手早く組めないだけでなく、急な隙間時間ができた時に「何をしようかな」と考えている間に時間が無くなってしまいます。
勉強の内容、練習の内容、創作の内容も、明確にしておきます。週、あるいは月単位で、「今はこれを集中的にやる」を決めておくことが重要です。どんな小さな隙間時間でも、スケジュール表やスマホのメモなど見ずにサッと取り掛かれる「瞬発力」が大事です。
デジタルツールの活用: 練習を管理するためのアプリとツール
自分のスタイルに合ったアプリを見つけて、スケジュール管理することも大切です。人によっては紙の手帳が使い易い場合もあるでしょう。自分が使い易ければ何でも構いません。
ちなみに僕はPCの前にいることが多いのでスケジュールはエクセルで管理しています。マクロを組んで1分毎に更新されるようにしており、ショートカット一発でPDF化されて、生徒と共有しているWEB上のスケジュールを自動で上書きするようにしてあるので、生徒からのスケジュール変更の依頼や、クライアントからの急なミーティング要請にも一瞬で対処しています(スケジュール上の生徒の名前は、PDF化する際に自動的に隠蔽されるようにしています)
練習の質を最大化: 集中力を維持するための環境づくり
スマホに通知がきてついSNSやYouTubeを見てしまったり、ニュースに目が行ってしまったりと、気が散る要素が周囲にあると練習や勉強、創作が中断してしまいます。スマホの電源を切り、PC上のブラウザは閉じて(通知もこないようにして)、没頭するように心がけましょう。
明るさと集中力: 最適な照明環境を整える
適切な照明は作業効率や集中力を高めることがアメリカの研究機関により実証されており、特に明るい環境は人の気分を向上させ、目の疲れを軽減し、全体的な生産性を高める効果があると報告されています。
ただし、明るさの程度は個人差や行うタスクの種類によっても異なるため、一概にすべての場合で明るい方が良いというわけではありません(イマジネーションが必要な作詞や作曲はただ明るければ良いというわけではなさそうです)。ちなみに僕は楽器の練習をする際、日中は外の光を取り入れ、夜なら撮影用の照明を浴びながら行っていますが、集中力の高さ、持続時間共に大きな効果を実感しています。
休息を計画的に: 効率を上げるための休憩の取り方
たっぷりと時間のある日などは、無計画になりがちです。そして無計画だとたっぷりあったはずの時間があっという間に無くなってしまうのです。たっぷりと時間の有る時こそ、しっかりとスケジューリングしましょう。
例えば独り暮らしなら、家事や雑用をいっぺんに終わらせて「さあ夜まで何にも無いぞ」とするより、家事を残しておいて、練習→家事→勉強→買い物→創作→家事→創作→打ち合わせの準備…と、集中力を必要としない雑務を「頭を休める時間」に当てましょう。まとめて家事を済ませてから8時間も10時間もダラダラとやるより、ずっと効率が良くなりますし、頭や気分を切り替える良い訓練にもなります。
眠気を吹き飛ばすための具体的対策
独りで黙々と作業や練習をしていると眠気が襲ってくる時もあります。以下に “僕の” 眠気対策を挙げてみます。
・軽く伸びたり、肩や首回りを回す
・窓を開けて新鮮な空気を入れる
・冷たい飲みもの or コーヒー
・スクワット10回 + 垂直飛び5回
・カフェイン入りのチューイングガム
・ペパーミントのアロマオイルを嗅ぐ
・部屋の温度を下げる(目標18度)&薄着
・ユンケル + QPコーワ + エスファイトの合わせのみ
・氷水に足を浸ける
・20分寝る
この中でも効き目が最大なのが最後の3つです。「ユンケル + QPコーワ + エスファイトの合わせのみ」は、それぞれに含まれる成分が被っていないとはいえ過剰摂取には注意しています。
「氷水に足を浸ける」は、片足でも十分に効果がありますが、両足なら効果絶大です。冷たさが痛みに変わり痛みが膝の上まで上ってくる頃には眠気は1ミリもなくなります。
時間があるなら寝てしまうのも勧めです。長く眠ると起きてからがダルくなるので20分くらいが良いでしょう。その後のパフォーマンスが上昇するので、場合によっては20分の作業を取り戻せます。ベッドで横になると寝すぎてしまいそうなので、僕は目覚ましをかけて椅子に座ったまま寝るようにしています。
短期目標と中期目標の設定
短期目標も中期目標も大切ですが、特に長期目標は絶対に設定しましょう。自分がどこに向かって何を成し遂げようとしているのかが定まらないまま進めると、うまくいかない時、壁に当たった時に対処の方法が見つかりません。あてどもなくフラフラと歩いているのと同じですから、最終的にどこへも辿り着けません。
長期目標の重要性: 期日を決めずに進む
どんな目標であろうが、目標達成の期日を決めないことが僕のお勧めです。はるか彼方にかすんで見える目標物があり、そこまでの距離も道程も全くわからないのに「あそこまで〇時間で辿り着くぞ」と決めるのはナンセンスです。何時間どころか何日も何週間もかかるかも知れません。
もし決めるなら覚悟が必要
音楽に限らず、他人がやっていることは簡単そうに見えるものです。それ故、往々にして甘い見積りを立てることになり、何度期日を再設定しても一向に目的地に辿り着かないためモチベーションが下がって挫折することになるのです。どの道のプロでもこういうことがわかっているので、軽々しく期日を決めず目の前のことに集中するのです(プロが期日を決める時は決死の覚悟です)。
持続可能な進歩のための心構え
持続可能な進歩のためには、目標を掲げても、期日を決めないことが重要です。計画は柔軟に、しかし目標をしっかり持ち続けることが、長期的な成長につながります。
まとめ
ミュージシャンにとっての時間管理は、音楽を学び成長していくために欠かせないスキルです。プライオリティを明確にして、効果的なスケジュールを作成することで、短い時間でも瞬時にタスクに集中することができます。
音楽活動を続けるためには長期目標を見据えた計画を立て、常に自分のペースで進みつつ、柔軟に対応する心構えが必要です。自分に合った方法を見つけ、日々の成長を実感しながら音楽の道を歩んでいきましょう。
あなたもこの教室で習ってみたいなら…