今回はRMSメーターを睨みながらスレッショルドを下げる回ですが、その前にOzone7のマキシマイザーの左にある”IRC”について説明します。
IRCのモードやタイプを選択
IRCとはIntelligent Releace Control、これは「入力信号を分析して心理音響的に最適なリリースタイムをリアルタイムに提供するよ」、という機能です。2mixには様々な楽器やボーカルが全て混ざっているので、こういった機能で刻々とリリースタイムを調整してもらわないことには最適なリミッティングが得られないわけです。
【IRC I】
鋭いピークには迅速に反応、そうでない信号には緩やかに反応=アナログ・リミッター的な出音
【IRC II】
IRC Iに比べ、トランジェントを保存するよう最適化されており、アグレッシブにリミッティングを行っても、シャープな音像が得られる=デジタル・リミッター
【IRC III】
人間の聴覚が聞き取れるレベルの歪が発生するより速く”○△□の高度な処理”を行うことで、非常にアグレッシブなリミッティングを可能にしたモード=がっつらマキシマイズしてもクリーン=CPU負荷高し(96kHzとか32bit浮動小数点とかの場合は注意)
Clipping: とにかくデカくしたいならコレ
Crisp: ザラつかせたいならコレ
Balanced: クリアでバランスの良い結果が欲しいならコレ
Pumping: 積極的にポンピングさせたいならコレ
【IRC IV】
最新のテクノロジーで、ポンピングとディストーションを極限まで軽減させたモード
Classic: バランス重視、昔ながらのサウンドならコレ
Modern: よりクリアで快活なサウンドが必要ならコレ
Transient: 更にクリアでシャープなサウンドが必要ならコレ
RMS値を上げる
マキシマイザーは大きな信号をリミッティングすると共に、それによって生まれるマージン分だけ自動でゲインを上げてくれますので、スレッショルド・レベルを下げるとRMS値と同時に聴感上の音量が上がっていきます。以下は各ジャンルにおける平均的なRMS値の目安です。
・超アグレッシブなEDMなら、-5dB
・一般的なEDMなら、-6dB~-10dB
・一般的なポップス、R&Bなら、-8dB~-12dB
・ロックなら、-10dB~-14dB
・ジャズ、フォークなら、-14dB~-18dB
・オーケストラなら、-16dB~-20dB
普段から自分が好きなジャンルの楽曲をDAWに読み込んでRMS値を見ながら聴いていれば、そのジャンルにはだいたいどの程度のRMS値が適切なのか、掴めてくると思います。
RMS値をだいたいの目安まで上げるためにスレッショルドを下げていきますが、デメリットが表れていないか、しっかりとサウンドに集中して行ってください。Part6で述べましたが、メリットはサルでもわかる(音が急に大きくなったら、犬や猫だってビックリする)が、デメリットを聴き取るには、よい耳と経験が必要だからです。
ここで一般的な音圧が得られなかったり、悪い意味で音が歪んでしまったりポンピングが目立つようなら、ミックスの段階で失敗しています。その場合、マスタリングの習得を目指す前に、良い状態にミックスを仕上げられるよう腕を磨いて下さい。
またもしこの時点で、目的通りの音圧やサウンドがほぼ得られていると感じられたなら、とりあえずはOK。次の作業に移ることになります。
今日はここまで!
次回はOzoneのマキシマイザーに備わったその他の機能について解説します!!