SONY MDR-CD900ST
僕は現在、常時4種類のスピーカーと4種類のヘッドフォンを使っています。ミックスやマスタリングでは様々な機器での再生音を確認する必要があるからです。今回はその中の “SONY MDR-CD900ST” という定番ヘッドフォンのドライバ(音が出るところ)を交換します。
部品が手に入る
このヘッドフォン、音が特別良いというわけではありません。世の中にはこれよりずっと良い音のするヘッドフォンもありますし、ずっと解像度の高いモニター・ヘッドフォンもあります。ではなぜこれを使うスタジオが多いのかと言うと、”あらゆる部品が手に入る” ので修理しながら使い続けられるからなのでした。
ヘッドフォンは、アンプ内蔵スピーカーやオーディオインターフェイスに比べればずっと単純な構造なので簡単に修理できます。もしメーカーに修理してもらう場合は、
・メーカーサイトの修理依頼ページを探す
・型番や故障の症状をフォームに書き込んで送信
・メールでの返事を数日待つ
・メールの内容を確認して商品を梱包(これが面倒)
・宅配業者に集荷を依頼をする
・”発払い”で発送(メールで受け取った番号等を伝票に書き込むか同梱)
・数日後に「お申し出の症状を確認致しました」と、修理費用の見積りが届く
・見積もり額を確認し銀行口座に修理代金を振り込む(要振り込み手数料)
・振り込みを確認した旨のメールが届き、修理期間が通達される
・修理品が届くまで1週間かそれ以上待つ
・修理品を受け取る(不在票が入っていれば再配達を依頼)
・梱包を解いて動作を確認
・段ボールや緩衝材を廃棄
という手順が必要です。しかし最初から自分で修理する前提でよく故障したり疲弊したりする部品(イヤーパッド、ドライバ、ヘッドバンド、ケーブル等)をストックしてあれば、どこか壊れた際に、
・分解して壊れた部品を取り外す
・新しい部品を取り付ける(半田付けが必要な場合もある)
・組み立てて動作確認
・故障した部品を廃棄
以上。どんなにかかっても2~30分で終わります。そして費用は1/2から1/4。
現場では
考えてみて下さい。大型スタジオで50人編成のオーケストラをレコーディングする際、全てのプレイヤーと指揮者がヘッドフォンを装着します。そう、スタジオにはそれだけの数のヘッドフォンが常備されているんです。そしてそれだけの数があるのでちょくちょく故障機が出ます。その度に上記の手間をかけてメーカーに修理依頼なんてしていられない。
「おい、コレちょっと明日までに修理しといて」
「はい!(アシスタント)」
「んじゃお疲れ~」
そのため、全てのパーツが手に入るSONY MDR-CD900ST は常に人気があります! 逆に、”趣味のDTMで使用”&”自分で修理する予定ナシ”の場合、このヘッドフォンを選ぶ合理的な理由とか特にないので好きなものを使えばいいんですよ♪(テレビで見るプロのレコーディング風景で必ずコレが写るから、なんかコレを使っていると自分のことを”本格的”って思えそう・・・いいんですよ。 気分が盛り上がるなら、それで良いんです!)
今日はここまで!
あなたもこの教室で習ってみたいなら…