道具は”使いこなしてこそ”です。今回はOzoneのマキシマイザーに備わったいくつかの機能について解説します。
① True Peak Limiting
市販の音楽CD等を再生しながらレベルメーターを見ていると「デジタルって0dBが最大値のハズだけど、このCDオーバーしてる・・・なぜ?」と思ったことがあるかも知れません。音声信号がデジタル上でクリップしていなくても、D/A変換によってオーバーレベルになることがあります(デジタルの”点”をアナログの連続した”線”にする際、サンプルの合間でクリップしたり)。
多くの再生機器ではそれくらいのことで歪むことはありませんが、公共放送で使われる業務用の音源を制作する場合や、アナログでのオーバーレベルがどうしても気になる場合は、この機能をオンで。CPUに負荷もかかるので通常はオフでOK。
② Character
マキシマイザー処理の音質に関わる、全体的なレスポンスを調整するスライダー(主にリリースのレスポンスが変化します)。
低い値:俊敏な動作。エッジの効いたサウンド。歪み易い。
高い値:緩やかな動作。クリアなサウンド。歪みを抑えられる。
ここの調整で得られる結果は、スレッショルド値と密接な関係にあるので、スレッショルドとこのスライダーの2つで、最適な音圧や楽曲の方向性にマッチしたサウンドへ追い込んでいきます。良い結果を得るにはこのパラメーターがキモ(僕の場合、デフォルトの2.0よりもリリースのレスポンスが緩やかな方向で落ち着くことが多い)
③ Stereo Unlink
【0%】 LRチャンネルは完全にリンク=1台のステレオ・マキシマイザーでLRを同時にリミッティングするイメージ
【100%】 LRチャンネルが完全に独立=2台のモノラル・マキシマイザーでLRをそれぞれ独立してリミッティングするイメージ
通常は0%でOK。何等かの理由でこの値を上げる場合は、LRで音量差が生じる(=センターに位置している楽器や歌が左右にブレることもある)ので注意。もしも、2台のアコギを完全にLRに振り切ってステレオのオーディオ・トラックにまとめてあり、そのトラックにマキシマイザーを適用するような場合なら、ココは100%でOK。
④ Transient Emphasis
リミッティング前のトランジェントの微調整を行うスライダー。マキシマイズを深めることで失われがちなドラムのアタックなどをここで補うことができます。こういうことは通常マキシマイザーの前段に配置したコンプレッサーで行いますが、ここでお手軽に調整できるのは嬉しい。マキシマイズ前の信号と聴き比べながら微調整を行うのが吉。
本日はここまで!
次回は他のモジュールの解説に移る前に、Ozone7の右下エリアのいくつかの”便利機能”について解説したいと思います。アディオス!!