【連載】デシベルの話(DTMer向け)#3

今回は”音響パワーレベル”と”音圧レベル”の違いをやります。

ヒーターの能力と暖かさ

音響パワーレベルと音圧レベル、どちらも音の大きさを表す数値で、どちらもdBを用いるので混同されがちです(以前僕もそうでした)。ここでは両者の違いを明確にする為に、ヒーターと暖かさの関係に例えてみます。

まずはヒーター自体の発熱能力について考えます。空間にどれくらいの熱を発するのか、その発する熱の総量、これには部屋の広さや形、気温、気圧、湿度、風、反射、遮蔽物などの周囲の状況は無関係です。つまりヒーター自体の持っている純粋な能力=パワーです。いわばカタログに書いてあるようなスペックです。

一方で暖かさについて考えます。そのヒーターを実際に使ったらどれくらい暖かいのか、これが暖かさです。これには様々な周囲の状況が関係してきます。ヒーターとの距離や位置関係、部屋の広さ、部屋の気密性、空気の対流、床や壁の熱の吸収や輻射熱など、様々要素の影響を受けた結果が”暖かさ”と言えます。

「このヒーター、〇〇ワットって書いてあるけど暖かいのかしら?」
「そんなのは使い方次第だね」(正解)
「(イヤな奴・・・)」(正解)
「なになに、キミはどういう風に使うんだい?」(←モテる)


(※画像はイメージです)

・音響パワーレベルは、音源となる物体や機器が空間に発している音のエネルギーの総量
・音圧レベルは、音が鼓膜やマイクに到達した音のエネルギー値=音圧

ご理解頂けたでしょうか。

スピーカーなどの音響機器のスペックには、値が音圧レベルであればそれだとわかるように”SPL”(sound pressure level)という単位を付けて記されていることも多いですが、音響パワーレベルの場合、いちいち”PWL”と記されていないことがほとんど。

例えばエアコン、空気清浄機、加湿器、除湿器、扇風機、パソコンに使う冷却ファン等、どれも「動作音は20dBと極めて静かです。」なんてdBに全く単位を付けませんが、あれは音圧レベルではなく音響パワーレベルです。測定方法も計算式も違うものです。

ちなみに音圧レベルにおいては、6dBの増減で音圧が2倍になったり2分の1になったりしますが、音響パワーレベルにおいては、3dBの増減で音響パワーが2倍になったり2分の1になったりします。

・・・全然ちゃうやないけゴルァ!!!ボケ!カス!アンポンタン!

さて次回は最終回、パンニングとデシベルの関係についてのお話になります。
 
 
 

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