【連載】デシベルの話(DTMer向け)#1

スピーカーやヘッドフォンなどの再生装置やDAWの中で音量は “dB”、デシベルという値で表されますが、なかなかこれが理解しづらい値なので整理したいと思います(僕自身も以前、音圧レベル(SPL)と音響パワーレベル(PWL)をコンドーしていたので自戒の念を込めて書きます)

デシベルは相対値

まずdBという単位の話しからです。単位と言ってもdBは絶対値ではありません。リンゴがいくつとか、人が何人とかいった絶対的な数値ではなくて、2つの値の比率を示す数値(対数)です。つまりある値に対して、ある値がその何倍にあたるのか、といったことを表すのがデシベルです。

電力の他、様々なものに用いられるデシベルですが、ではなぜ音の大きさ(空気が受ける応力)を、そもそもの絶対値(パスカル)でなく相対関係を表すdBで表現するのかというと、パスカルで表したり、パスカル同士の倍率で表そうとするとトンデモないことになってしまうからです。

トンデモない桁数

人が聴きとることのできる限界まで小さい音を1とした場合、木の葉が風に揺れてカサカサと擦れるくらいの音はその10倍。静かな図書館なら100倍、普通の会話なら1000倍、目覚まし時計の音なら1万倍、走行中の地下鉄の車内なら10万倍、頭上をジェット旅客機が通ったなら100万倍・・・というようになります。単なる倍率で扱おうが絶対値パスカルで扱おうが、そのケタ数の増減がハンパなくなってしまいます(人が即座に相対関係を把握できるのは3ケタくらいまでだと言われている)。表にするとこう。

んでもって、もっと扱い易い数値にしようやということで、ベルという対数表記が使われることとなります(これは電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベルさんの名前にちなんでいます)。10倍を2ベル、100倍なら4ベル、1000倍なら6ベル、という風にです。これは倍数の0の数に2をかけた値、つまり10倍ごとに2ベルずつ増えるという対数です。表にするとこんな感じ。

でもこれだとちょっと大雑把過ぎて、実用上では小数点を扱うことが増えてしまいます。そこで、じゃあこの10倍で表そうや、ということでdB=デシベルとなります(”デシ” とは “10”の意味)。表にするとこんな感じ。

で、そもそもは相対的な値を表すデシベルですが、人が聴きとることのできる限界まで小さい音をひとつの基準とすることで、その音と全く同じ音量なら0dB、10倍なら20dB、100倍なら40dB・・・10万倍なら100dB、100万倍なら120dB、というように、トンデモないケタ数に渡る音量の相対関係を、実用的で把握しやすい2ケタから3ケタの、しかも音量を表す絶対的な数値として扱うことができるわけです。5メートル離れたところで犬がこっちを向いてワンワンと吠えたらだいたい80dB、のように絶対値として扱えるわけです。表にするとこう。

トンデモないカタログ

もしも防音室のカタログがこんなだったら・・・

・防音室の中では静かにしていると60μPa(0.00006Pa)
・大音量で音楽を聴くと200万μPa(2Pa)
・ドラムを演奏するとなんと2000万μPa(20Pa)
・でも防音室の外ならそれは20万μPa(0.2Pa)

・・・全然わかりません。でも、

・防音室の中では静かにしていると10dB
・大き目の音で音楽を聴くと80dB
・ドラムを演奏するとなんと120dB
・でも減衰40dBの防音室の外ならそれは80dB(=120dBー40dB)

簡単!! デシベルは足し算引き算ができるから「80dBか。日中ならドラム叩けるかな。ちょっと高価だけど減衰50dBの製品なら、120-50=70dBか。こっちなら夜7時くらいまで叩けそう。」もう一度上のパスカル表記を見て下さい。これを使って計算するのは大変だし、計算結果を見ても把握できなさそう。。ありがたい単位です、デシベル。

いろんなデシベルがある

今回は、音という”空気の疎密波”が音源から放たれ、人の鼓膜や測定マイクのダイアフラムに届いた時の音量=音圧レベル(Sound Pressure Level=SPL)のデシベル表記について解説しましたが、次回はデジタル・オーディオにおいてのデシベル(これが本題)についての解説したいと思います。

<おまけ>さまざまなデシベル表記

・dBFS = 音の大きさを表す。デジタル信号の大きさの単位。(次回はこれをやります)
・dBmW = 電力を表す。電波や光ファイバーなどで信号の強さを表すのに用いられる。
・dBu = 音響機器などで用いられる信号の大きさ(電圧)の単位。
・dBSPL = 音圧レベル(今回のはコレ)。
・dBV = 音響機器の入出力のレベルの電圧を表す単位(1ボルトが基準)
・dBv = 音響機器の入出力のレベルの電圧を表す単位(0.775ボルトが基準=dBuに同じ)
・LUFS/LKFS = TVやラジオ、動画サイトなどで用いられるラウドネス値
・dB(PWL) = 僕はこれとdBSPLをごっちゃに解釈してました

 
 
 

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