DTM用PCを自作 その9 電源ユニット

PCのパーツの中でかなり重要な電源ユニット。安定動作の要となるパーツだ。PCが不調な時、電源を新品に交換したら復調したとかはよくある話。また電源ユニットには大きな負荷がかかるので経年劣化が激しく、ほぼ消耗品と考えた方が良い。

「6年前に組んだPCの電源を流用して・・・」はどう考えても危ない。電源ユニットはあらゆるパーツに電力を送っているので、故障の際に万が一過電流が流れると、CPU、マザーボード、メモリー、グラフィックボード、HDD、SDDなどの周辺機器を破壊してしまう(実際そういうケースが報告されている)。そういった意味でも注意が必要なパーツだ。

80PLUS認証

電源ユニットには “80PLUS認証” という規格があり、これは「電力を交流から直流へ変換する際の変換効率が80%以上の製品に与えられる認証」である。その80%以上の中でも変換効率によりスタンダードからチタンまで6つのグレードに分けられている。

しかし「変換効率が高い=よい電源」ではないので、グレードは電源ユニットの良し悪しを見極める指標にはならない(発熱には関わってくる)。電源の設計、パーツ、組み立て精度などによる、初期不良率、耐久性、安定性、静音性、拡張性など、より大切なことがたくさんあるので、変換効率という一面的な格付けより、価格ドットコムやAmazonのレビューの方がよほど多面的で役に立つ。80PLUS認証の無い粗悪品は別としても、最上位グレード(チタン)でも低い評価はいくらでもあるので、「80PLUS認証のグレード=トータルな品質」と考えないように。

電源容量

電源ユニットは、刻々と変化するPCの消費電力に対して消費する分だけ供給している。つまり容量600Wの電源ユニットが常に600Wの電力を供給しているわけではない。”最大で” 600Wの供給が可能という意味だ。しかしながら、変換時に内部ロスがあり、多くの電源ユニットが最大出力の50%出力時に最もロスが少なくなるよう設計されている。例えば容量600Wのユニットなら、消費電力が300Wの時に最も効率が良い。これが「PCが要求する電力のおよそ2倍の容量を持った電源ユニットを選ぶと良い」と言われる理由のひとつでもある。容量ギリギリで使用すると過熱や内部パーツの劣化も激しく故障にもつながりかねないので余裕は大切だ。

消費電力

では自分が組もうとしているPCの消費電力がどれくらいか。これを組んでもいないのに測定することはできないが、部品構成からおおよその値をはじき出すことはできる。ネットで ”pc 電源 容量計算” と検索してみよう。PCの消費電力計算サイトがたくさんヒットするはずだ。その中から適当に2、3のサイトを選んで計算することで、だいたいの消費電力が把握できる。そこから必要となる電源ユニットの容量も見えてくる。

組んだ後ならこういった機器で測ることはできる

今回のPCにはHDDもDVDドライブも搭載しないため、消費電力は最大でも240W前後。CPUのオーバークロックで+50W~100W、水冷のウォーターポンプが+10Wで、合計300W~350Wの計算になる。つまり600~700Wの電源ユニットが必要ということだ。今回、後からドライブやグラフィックボードを追加する可能性は低いが、パーツ追加の可能性がある場合は、その分の余裕を見た方が良いだろう。

静音性

電源の大切さを知らなかった自作初心者の頃、”容量だけは大きい安物の電源” を使ったことがあるが、これが猛烈にうるさかった。パーツの質が低く変換効率が悪いので発熱がすさまじく、そのため冷却ファンが常時けたたましく回転。加えてトランスのブーンというハムノイズ、そしてコイルからは高周波ノイズ・・・。壊れる前に交換したが、そのまま使ってもコンデンサーが熱で早々にご臨終したと思う(コンデンサーの温度が10度上昇するとその寿命は2分の1に)。静かなPCを組みたいなら静かな電源は必須。発熱が少なく、ファンが静かで、負荷の少ない低温時にはファンの回転を止める機能(セミファンレス)を持ったものもある。

耐久性・信頼性

昔の電源ユニットは「HDDの次に壊れやすいパーツ」だったが、現在はメーカーの研究開発によりかなり高品質・高耐久になったようだ。中でも、Seasonic、Enhance、Corsairなどのメーカーは信頼性が高いことで知られている。また、”日本製105度耐熱コンデンサ(ニチコンやパナなど)を使っているか否か” も耐久性の指標になる。信頼性は、日本製105°>日本製85°>外国製105°>外国製85°、と見てよい。またメーカーの3年保証、10年保証などの保証期間、そしてメーカー公証のMTBF(平均故障間隔)も耐久性と信頼性の参考になるだろう。

信頼性にそこそこ定評のあるコルセアのRMシリーズ(OEMだが)はコスパ良好

機能性・拡張性

昔の電源ユニットは全てのケーブルが電源本体から ”生えて” いた。そのため大量の ”使わないケーブル” がPCケースの内部に所狭しとひしめき合うことになる。これが邪魔なことこの上ないのだ。そこへいくと現在の電源は ”プラグイン” といって、使うケーブルだけを繋げばよい仕組みになっている。こんなの当たり前のようだが、最近やっと多くの製品がこうなった(といっても安価な製品は未だに本体から直に生えてる)

ただプラグインには注意すべき点もある。電源ユニットを交換する際、ケーブルのコネクタ形状は規格で統一されているから他社のものでも普通に刺さるのだが、横着をして他社のケーブルをそのまま流用して電源本体だけを交換したことが原因で、電圧が下がったり、PCの挙動が不安定になったり、SATA電源ケーブルが焼け焦げた、HDDが壊れたなどの報告がネット上で見て取れる。電源を交換する際には、必ずケーブルごと交換することを忘れずに。

また、多くのHDDやSDD、複数のグラフィックボードなどを使う際には、購入前にコネクタの種類と数をしっかり確認しよう。もちろんケースの規格(ATXなど)と合致したものを選ぶこと。

そして今回僕が選んだのは、この分野では高い信頼性で知られる台湾の Seasonic社製。PRIME Ultra シリーズの650W。電圧変動の誤差±0.5%以下、内部のエアフローを改善するケーブルレス構造と135mm静音ファン、変換効率94%で発熱低減&省エネ、通常モード&セミファンレスモード切り替え、1次側だけでなく2次側にも日本製105°コンデンサーを使用、フルプラグイン、12年間新品交換保証付き。予算が許すならオススメ。但しこういう製品でも、運悪くハズレを引けば1年で壊れることもあるから気を抜けない。日本が誇る村田製作所製の電源ならそんなこともないだろうが、定価11万4千円とパソコンがまるっと買える価格。・・・家に電源だけあってもDTMできないしな。

 
 
 

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